第1章 黒板とは

■黒板は教師と生徒を結ぶヒューマンインターフェース

黒板は、最も古くからある教育メディアの一つです。多くの授業は、黒板を介して行われています。

教師は黒板へ書き込むことによって知識を提供し、教育上必要な情報を伝達しています。そして、生徒の反応を見たり、理解度を確認する為に、生徒に考え方を書かせたり計算させたりして必要な補足的な指導を行っています。一方、生徒は黒板への書き込みを通じて、自己を表現したり、仲間達の意見を集めたりまとめたりします。

黒板はビデオ、テレビなど他の教育メディアに比べて感情移入がしやすいと言われております。生徒達は黒板に向かう教師の後ろ姿、黒板に書き込む筆勢、説明の語気などから事柄の重要性を感じとったり、指導に対する熱意、感情を読み取ったりしています。

このように、黒板は教師と生徒、生徒と生徒とを結び知識や心を通わすことのできるヒューマンインターフェースとしての役割を担っております。黒板を介した教師と生徒のコミュニケーション。それは、授業の流れの中で生み出されるエッセンスでありその場に臨んでいる教師や生徒のそれぞれにとって、常に新鮮で緊張感に充ちあふれています。その意味で教師、生徒そして黒板が三位一体となってはじめて授業が成立し、いずれが欠けても授業が成立しないと言っても過言ではありません。


■黒板はインテリジェンス情報の発信基地

学校教育では授業中に教科書、参考書、視聴覚機器等を通じてさまざまな学習情報が提供され、生徒達はそれらを知識として吸収しています。

授業中に黒板に書き込まれる情報は、断片的であったり、抽象的であったりしてそれだけでは意味を無さないものが大半ですが、生徒達は教師の書き込む一文字、一文字に注視しています。黒板に書き込まれる情報には、教師が教えたい、伝えたい事柄が教師のハートを背景にして書き込まれます。それはホットでエキサイティングであり、人生で初めて出会うまさにインテリジェンスな情報です。ときには数文字の中に生涯に渡るような示唆に富んだ教えが書き込まれることもあります。

黒板と同様に目から情報としてインプットされる教育メディアとしてはビデオ、OHP、パソコンなどがあります。それらは日進月歩で進化しており、これからも、優れたものが輩出されるでしょう。しかし、黒板にはみんなの前で書くということを通じて思考する力を養ったり、全ての生徒を一点に注目させて注意を促したり、それぞれの意見をまとめあげたり、学習雰囲気を盛り上げたり、教師の情熱を感じてもらったりする機能という点では、黒板に勝てるものはありません。

教育手法の変化、新しい教育メディアの出現など教育現場は大きく変わっていくでしょうが、何時の時代においても黒板が担う教育的な機能と利用の意義は変わらないでしょう。

こうした黒板の機能を見直し、授業展開の基本ツールとして多いに活用して下さるようお願い申し上げます。